コラム

働き方改革は生き方改革


新年度を迎える。会社も今年で設立30年、会社の寿命が迫っている。多くの中小企業が経営者の高齢化と共に老いていくのだ。なぜなら経営者あっての企業というスタイルが多いからだ。多くの経営者は社員を育てて次の世代を任せたいのだが,その期待に応えられる社員は少ない。なぜなら社員が社員であるという意識から脱することが難しいからだ。社員に経営者意識をもたせようといろんなセミナーで言われている。成功した例もあるが、現実はなかなかうまくいかない。なぜなら経営者になりたいと思っている社員は意外と少なく,そういうなら給与も経営者と同じにしてくれと思っているからだ。

会社が寿命を迎えてからの対応は3つしかない。廃業,M&A、後継者への移行だ。新しい考え方を持った人を後継者として再スタートするのは望ましいことだ。後継者への移行は取引先と社員の安心という面では一番望ましいが,現在は3割くらいしかない。しかも、後継者が親の家訓を守っていれば存続できた時代と違い,子供と言うだけでは継続が難しい時代だ。これは時代の変化と少子化の影響だ。大企業で後継者という人はいくらでも選べる場合でも実はそう甘くない。大企業でも時代に合わなくなった企業は淘汰されていく。三洋電機、レナウンも倒産した。つまり大小問わず時代に合わなくなれば倒産するということだ。

日本では働き方も欧米と違う。欧米では長期休暇は法律上の義務で罰則もあり。1ヶ月の休暇を皆楽しんでいるが,日本では1週間の休暇でもなかなか取れない。これは猛烈に働いてきた高齢者世代が、休みは悪だと考えるからだ。しかし今の若い世代はそういう会社には入りたくないと思う人が増えると企業も考えざるを得なくなる。若い人の起業が増えているのはそういう事情もある。つまりこの国では個人の幸福な生活よりも企業による個人の時間の拘束により企業への忠誠心ややるきをみるというまるで江戸時代のような思想が蔓延しているせいだ。

本来自分が生きたいように生きられるはずだが、それが出来ない。これが働き方改革は生き方改革という意味だ。今働き方が変わろうとしている。残業をたくさんする社員より,定時に帰って成績を上げる社員の方が有用だと言うことを理解しなければならない。正社員と同等の成果をあげるパートは同じ評価にならなければならない。つまり、経営者は評価が出来ないので、誰にでもわかる時間だけで評価していることによる弊害が出ているのだ。これからは働き方,つまり生き方を評価される時代が来る。

渕上コラム「変える言葉」